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万葉集 巻十一 2654

君に恋ひ寝ねぬ朝明に誰が乗れる馬の足音そわれに聞かする

***

(あなたを思って寝られなかった夜明けに、誰かが乗った馬の足音を私に聞かせてくるよ)

恋人の訪れがなく、一人、恋人を思いつづけた夜明けに、
外から聞こえてくる馬の足音を聞いている。

聞いているというよりは、聞かされている。
音が聞こえてきてしまう。

一夜を共にした恋人のところから、馬に乗って帰っていく誰か。

この歌での馬の足音は、
どこかの誰かは、幸せな時間を過ごしたことを知らせる音になっている。

同じ音でも、
聴く人・聴く状況によって、いろんな意味付けがされる。

そんな音の世界を垣間見るのがおもしろい。



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きみにこひ いねぬあさけに
たがのれる うまのあのとそ
われにきかする
by hapipi_hapipi | 2005-11-26 13:50 | 音景色=本文=
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