カテゴリ:空=本文=( 10 )

万葉集 巻二 169

あかねさす日は照らせれどぬばたまの夜渡る月の隠らく惜しも

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(太陽は照らすけれでも、夜を渡る月が隠れてしまうのは惜しいことだ。)

「あかねさす」と「ぬばたまの」は枕詞。

「あかねさす」は、私が一番好きな枕詞だ。
たぶん、「あかね」という言葉が好きなのだろう。

「あかねさす」は、「あか(あけ)」+「ね」+「さす」。

  「あか(あけ)」→明け。明るくなること。夜明け。
  「ね」→根。根本。元。

  「あかね」→明るくなる根本。色のイメージは、太陽が昇る直前の朝焼け。

「あかね」の語源を「赤根」と考えると分かりやすいが、
「あか」を「赤」に置き換えることには、異論を唱える研究者もいる。

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オーストラリアに1年間留学していた友人に、
100枚以上の写真を見せてもらった。

友人のアルバムを見ていてる私の手が止まる写真が、
ことごとく、空・海・花の景なのだ。

空・海・花の写真が好きなのは、自覚していたが、
ここまで露骨にあらわれると、笑ってしまう。

空の写真の中では、朝焼けと夕焼けが好きだ。
そういえば、夕焼けの写真に出会うことは多いが、
朝焼けの写真に出会うことはあまりない。
(写真家さん、ぜひ早起きしてください!)

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あかねさす ひはてらせれど
ぬばたまの よわたるつきの かくらくをしも
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by hapipi_hapipi | 2007-04-13 09:56 | 空=本文=

万葉集 巻三 428

隠口の泊瀬の山の山の際にいさよふ雲は妹にかもあらむ

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(隠口の泊瀬の山のあたりをただよっている雲は、愛しい人でもあろうか。)

この歌も人麻呂の歌。

火葬の煙と、山にただよう雲を重ねている。
愛する人の魂が、すーっと消えずに、残っている。

一つ前の208番歌もそうだが、
死者の魂が山に入っていくという、山中他界観を示している。
古代の人々が死をどのようにとらえていたかが分かる。

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大切なものがふえていくと、失うことの恐さもふえていく。
大切なものを失ってしまったとき、
どうやってそれを説明し、受け入れていくか。

208番歌に戻ってしまうが、208番歌は、
黄葉の美しさに惹き寄せられ、山に入り、道に迷ってしまったために、
愛する人がこの世からいなくなってしまったと、死の理由を説明する。

自分の意思ではなく、
相手(人・事物・事象etc)に惹き寄せられてしまうということはあると、
私は思っている。

自分の意思ではないと言っても、
こちらの側に、惹き寄せられてしまう態勢があるからだけど。

現代の考え方では、深層心理だと説明されてしまう。

宗教っぽいが、
簡単に惹き寄せられないような、強固な魂を作りたい。

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by hapipi_hapipi | 2006-10-20 08:16 | 空=本文=

万葉集 巻八 1521

風雲は二つの岸に通へどもわが遠妻の言そ通はぬ

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(風や雲は両岸を通うけれども、私の遠く離れた妻の言葉は通わない)

公開を楽しみにしている映画がある。
8/19土から上野一角座で公開の「もんしぇん」。

「もんしぇん」公式サイト
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「あれ、見たいなぁ」くらいなら、よく思うけれど、
前売り券まで買うことはなかなかない。

出会うべくして出会った。とまで言うと言い過ぎだけど…。

この映画を見つけたとき、
東博敷地内にいつの間にか映画館が出来ていることにも驚いた。

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by hapipi_hapipi | 2006-08-14 07:48 | 空=本文=

万葉集 巻十四 3510

み空行く雲にもがもな今日行きて妹に言問ひ明日帰り来む

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(空を行く雲でありたい。
 もし雲なら、恋人の元に今日行って言葉をかけ、明日には帰ってくるのに)

「雲になりたい」と詠まれている。
古代の人々は、他に、どんなものになりたいと思ったのだろうか。
自分を重ねる対象。
興味深い。

今でも、空を見るのは好きだけど、
大学生の頃、
空ばかり見ていた時期がある。
雲と星。星の中でも、特に流星。
満月を意識して見るようになったのも、
大学生のとき。

しばらく、ゆっくり空を見ていないな。

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by hapipi_hapipi | 2006-06-08 17:50 | 空=本文=

万葉集 巻十 1923

白真弓いま春山に行く雲の行きや別れむ恋しきものを

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(いま、雲が春山のほうに行くように別れるのだろうか。恋しいものを。)

空に浮かぶ雲。
雲が流れていくような別れ。
どんな雲だろう。

あんまり実感が湧かないけど…。
新しく発生した出会い。
元々あるものとの別れ。
ずーっと続く出会い。

昨日・今日と、
空をぼんやり眺める時間が取れるようになっていたことに気づいた。
ほんのわずかな時間だけど。

図書館の窓から見る雲。

少しずつ好きにはなってきている。今の空間。
帰れる馴染みの場所もあるし。得した気分。

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by hapipi_hapipi | 2006-04-19 00:36 | 空=本文=

万葉集 巻十二 2887

立ちて居てたどきも知らずわが心天つ空なり土は踏めども

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(立っていても座っていても、術を知らないで。
私の心は、天の空のようだ。足は地についているのに。)

3月末から、
いろんなことがバタバタと続いている。

心が落ち着かない。
こんなに、ざわざわするのは久しぶりだ。

ひとつひとつ片付けていくしかないのだけど。

今日は、その中でも、一番気にしていた部分が、
落ち着いた。ものすごく疲れた。
予想に反して、良い方向に進んだ。嬉しかった。
同時に、寂しかった。

そういえば、
大学一年生のときに、
『あの人はこう言うだろうなぁと思っていたことを実際に言われることは少ない。
話してみると、一人きりで考えていたときとは違う展開になることが多いよ。
人と人との付き合いだから、直接本人に当たるのが一番だよ。』
と言われたことがある。言葉までは覚えていないけど、そんな内容だった。

当たり前のことだけど、
誰かから声に出して言われたことで、
力が湧いてきた。

自分のこの先の人生で、
この人を失いたくないと思ってた人。
隣に居られなくても良いから。

今じゃあ・・・。

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by hapipi_hapipi | 2006-04-15 01:42 | 空=本文=

万葉集 巻四 702

ぬばたまのその夜の月夜今日までにわれは忘れず間なくし思へば

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(あの夜の月を今日まで私は忘れていない。いつも思っているから。)
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by hapipi_hapipi | 2006-02-11 18:45 | 空=本文=

万葉集 巻十 2332

さ夜更けば出で来む月を高山の峯の白雲隠しなむかも

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(夜が更けると出てくる月を、高山の峯の白雲は隠してしまうかなぁ)

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つぎからつぎへと浮かんでは消えていく、「思い」たち。
そのときどきの状況次第で、思いの姿も変わっていく。

どれも、自分の思いであることに変わりはない。

立ち止まっていようが、なんだろうが、
一日一日は動き続けている。
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by hapipi_hapipi | 2006-01-12 12:43 | 空=本文=

万葉集 巻七 1068

天の海に雲の波立ち月の船星の林に漕ぎ隠る見ゆ

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(天の海に雲の波が立ち、月の船が星の林に漕ぎ隠れていくのが見える)

天→海
雲→波
月→船
星→林

空の事物が、地上の事物に見立てられている。

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見れるかどうかも分からない流星を見たくて、
寒い夜空の下、何時間もじっと待っていたことがある。
どうしても見たくて。

見ることができたら、何かが変わる気がした。
大学1年生のとき。

自分一人の力では到底変えることのできない状況でも、
他の力を借りることによって変えられるのではないかと。

この時期になると、その頃のことをよく思い出す。

流星に願いを託そうというような思いからではなく、
どこまで待てるのか、粘れるのか、耐えられるのか…
そんな思いが強かった。
単純に、見たいという気持ちもあったけど。
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by hapipi_hapipi | 2005-11-16 19:24 | 空=本文=

万葉集 巻八 1569

雨晴れて清く照りたるこの月夜また夜くたちて雲な棚引き

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(雨が上がって月が清らかに照っている。夜が更けても雲がかからないでいて欲しい。)

雨上がりの空気が好き。
空が澄んでいる。
いつもよりいっそう月の輝きが夜空に映えている像が浮かぶ。

夜更けまで、曇らないでいて欲しいと願うその訳は…。

1566~1569番歌は、9月に詠まれた歌であることが左注から分かる。
お月見をしていたのかな。
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by hapipi_hapipi | 2005-06-15 23:03 | 空=本文=