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万葉集 巻四 760

うち渡す竹田の原に鳴く鶴の間無く時無しわが恋ふらくは

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(竹田の原で止まることなく鳴き続けている鶴のように、自分も絶え間なく恋しく思っているよ)

恋人への思いがどのくらいの思いなのか、量をはっきりと示せるようなものではない。
この歌では、どのくらいの思いなのか、そのスケール感を、鳥の声を用いて表している。

「恋ふらくは」とあるが、恋(こい)は、乞うということ。
会えないときに、会いたいと乞うているのだ。
では、会ったらどうなるのか。
愛(あい)になる。

目合い(まぐあい)という言葉がある。
恋人同士が見つめあっている状態。一夜を共にするという意味でも使われている。

七夕の夜に、織姫と彦星が会う、星合い。
素敵な言葉だと思う。

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この歌とは直接関係ない話だけど…
私は人の目の力が好きだ。
「目の力」とまではいかなくても、話しているとき、見ているとき、
相手(対象となる人)の目から、いろんなことを感じる。

自分がどれだけ相手のことを思っているのか。
相手がどれだけ自分のことを思っているのか。
この歌では、定量表現で伝えられない「これくらい」という感覚を、
鳥の声と重ねているが、今だと、どんな言葉になるんだろう。

私は「どれくらい」、相手のことを思っているのだろう。
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by hapipi_hapipi | 2005-03-29 04:19 | 音景色=本文=

万葉集 巻五 837

春の野に鳴くや鶯懐けむとわが家の園に梅が花咲く

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(春の野に鳴いている鶯をわが家の庭に呼び寄せようと梅の花が咲く)

春の訪れは鶯によってもたらされる。梅は春の花。
鶯も梅も季節の象徴である。

野で鳴いている鶯を、家の庭に呼び寄せようと梅の花が咲く。
この歌からは、
季節の鳥がやってきてから花が咲くのではなく、植物の変化のほうが先で、
その後に鳥がやってきたことが分かる。

面白いのは、鳥の鳴き声がきっかけで花が咲いている点だ。
都の中に鶯がやってくるのと、都の家の庭に咲く梅の花の変化では、
梅の花の変化のほうが先ではあるのだが、
その際、「都」の前段階である、「野」の空間で鶯が鳴いたために、
「都」の梅に変化が顕れているのだ。

***

今は、春と言えば桜。
桜の開花が本格的な春の到来と感じる人が多いのではないだろうか。
これは、時代による文化の違いだから別に問題でもなんでもないが。
私は桜よりも梅の花が好きだな。

桜と聞くと思い出す景色がいくつかある。ベスト3の発表!
1位 森林公園の桜吹雪
…小学校低学年の頃かな。
マラソン大会出場のために行った森林公園での桜吹雪。
両親が、「こんなの初めて!」とはしゃいでいたのが懐かしい。

2位 図書館3階からの桜
…大学3年から4年になるときの春休み。
窓から見る景色が一面桜。図書館には人がほとんど居なくて、
贅沢な景色を独占してた。

3位 小さな頃から慣れ親しんだ地元の桜並木。
…幼稚園の頃かな。
週末に家族で、桜並木の下を自転車で通ったときの景色。
自転車の後ろに乗ってた感覚まで思い出す。
私が大学入学した春までは、近くの公園に家族で桜を見に行ってたな。
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by hapipi_hapipi | 2005-03-26 12:03 | 音景色=本文=

万葉集 巻十 1935

春さればまづ鳴く鳥の鶯の言先立てし君をし待たむ

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(春になったらまず最初に鳴く鳥である鶯の声が聞きたいと、鶯を待っている)

春一番に鳴く鳥は、鶯だった。鶯によって春がもたらされるのだ。
この歌は、春を待ちわびていて、春の訪れの証である鶯の声を求めている歌だ。

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恥ずかしいことに、私は鶯の鳴き声を聞いたことがあるのかないのか。
それすらも分からない。今すぐぱっと浮かばない。
東京にも鶯はいるはずなんだけど…。
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by hapipi_hapipi | 2005-03-26 11:41 | 音景色=本文=

万葉集 巻十五 3580

君が行く海辺の宿に霧立たば吾が立ち嘆く息と知りませ

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(あなたが行く海辺の宿に霧が立ち込めたなら、それは私が嘆いている吐息だと
知ってください)

旅の歌。旅に出た恋人を待つ側の心境が歌われている。
古代では、霧は息だと考えられていた。息は魂のあらわれである。
魂が自然をコントロールしているのだ。

旅は現代とは違い、危険なものだった。
道中の安全の不安と、待つ側の心の不安が霧という形で表現されている。
霧が出ていると、視界も悪くなり、安全な状態ではない。
とは言うものの、霧の中に入ったとき、その霧が恋人の魂によるものだとしたら。
恋人の魂に守られているのだ。
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by hapipi_hapipi | 2005-03-24 23:00 | 旅=本文=

万葉集 巻八 1422

うちなびく春来るらし山の際の遠き木末の咲き行く見れば

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(春が来たらしい。山際の遠い梢に花が咲いていくのを見ると。)

山に花が咲きだしたのを見て、春の訪れを知る。
春はまず、山に訪れるのだ。

古代の人々の空間概念では季節は、
山→野→里→都へと伝わってくる。

***

4月を目前にして、
まだまだ寒い日が続いている。

マフラー・手袋を手放せない毎日ではあるけど、
晴れている日のぽかぽか陽気に、うきうきした気分になる。

春の気分。
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by hapipi_hapipi | 2005-03-23 20:13 | 季節=本文=

万葉集 巻三 349

生ける者つひにも死ぬるものにあればこの世なる間は楽しくをあらな

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(生きているものはいつかは死んでしまうのだから、
この世にいる間は楽しく生きていたい)

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同じ時間を過ごすなら、より楽しく過ごしたい。
そのためには、自分から「楽しもう」とすることが大事だ。
私はそう思っている。

行動次第で、いくらでも未来は変えられる。
不満をただ抱え込むのではなく、
状況を変えようと自分で動くことが、どんなに大切なことか。

もちろん、楽しいだけが全てではないとも思う。
「楽しくない」と思ったことがなければ、「楽しい」という感情は分からないはずだから。
辛いことを乗り越えたときの楽しさ、嬉しさ、喜び、幸せ…。体が覚えてる。

体中からエネルギーが満ち溢れているときの自分がやっぱり一番好き。
前向きに!笑顔で!

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いけるもの つひにもしぬる ものにあれば
このよなるまは たのしくをあらな

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by hapipi_hapipi | 2005-03-22 22:20 | その他=本文=

参考文献

本文は、
中西進『万葉集 全訳注原文付(一)~(四)』講談社文庫による
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by hapipi_hapipi | 2005-03-22 22:16 | その他=本文=

ようこそ、「万葉の世界」へ

はじめまして。
『万葉集』を中心に古代文学研究をしています。まだまだヒヨコです。
もともとこのブログは、仕事に追われて、
(学部卒業後、大学院に行くまでに2年間働いていました)
『万葉集』を手にとる機会が減ってしまったことが悲しくて、はじめました。

ここでは、専門的なことはほとんど(全く?)書いておらず、
私的な内容ばかりですが、
よろしければ、またぜひ遊びに来てください!!

感想・疑問・意見等、
コメントやメールで聞かせていただけたら嬉しいです。

***

「更新のタイミング」=「万葉集を手にできた時間」

『万葉集』は、全部で、4516首の歌があります。
本のページをパラパラめくりながら、
そのときの気分でひとつの歌を選んでupしています。

☆★
hapipi_hapipi
万葉の世界:http://manyousyuu.exblog.jp/
hapipi_hapipi@excite.co.jp
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by hapipi_hapipi | 2005-03-01 00:00 | はじめまして…