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万葉集 巻十二 3055

山菅の止まずて君を思へかもわが心神のこのころは無き

***

(山菅のように止むことなくあなたを思うからか、
 私の心はこの頃、無くなってしまっている。)

「山菅(やますげ)」と「止まず(やまず)」が、
「やま」の音で呼応している。

前回の3972番歌の「心神」は、
souuさんからいただいたコメントにあった通り、原文は「許己呂度」。

今回の3055番歌や、
月草さんがコメントに引いてくださった457番歌は、
原文表記が「心神」。

457番歌や3055番歌の「心神」が、
3972番歌で「許己呂度」に「心神」を当てて訓読している
根拠になっている。

以前にも書いたが、
このブログで使っているテキストは、
中西進『万葉集 全訳注原文付(一)~(四)』講談社文庫 1978~1983。
万葉集には訓みの定まっていない歌も多く、
時代や注釈書によりかなりの差異がある。

457番歌や3055番歌の「心神」についても、
「こころど(こころと)」と「たましひ」と両訓がある。

***

インフルエンザをこじらせ、半月寝込んでしまった。
ここまで何もしないで過ごすのも、久しぶりだ。

半月分の遅れを早く取り戻さないと…。

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(万葉集 巻十二 3055)
やますげの やまずてきみを おもへかも
わがこころとの このころはなき
by hapipi_hapipi | 2007-08-18 18:04 | 恋=本文=
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